<悪魔のささやき>

休日、山歩きに出かけました。自宅近くの裏山で、2時間半程度で往復出来る手ごろなコースです。午後の予定が空いたので思い立って、午後1時にスタートしました。冬季の積雪が多い山なので、登山道はまだ雪の下。歩きやすそうなルートを探りながら頂上を目指しました。素晴らしい景色に見とれつつ頂上へ到着。汗を沢山かいたせいか、ビールが恋しくなってきました。「さぁ、降りてビールだ!」と休憩もそこそこに切り上げ、雪山をすべるように下山していきました。大変快調でした。ところが、4合目を過ぎて雪が少なくなってきた辺りで、道を間違えたらしく、藪の中に迷い込んでしまいました。引き返すことも考えましたが、「折角ここまで降りてきたのだから、そのまま行っても大丈夫かな。まだ日も高いし・・・。何よりビールが待っているし!」と悪魔のささやきが聞こえてきました。強引に下れば何とかなるだろうと、沢伝いに前進することにしました。ところがかなり下ったところで、雪解け水が増水して滝になり、その先を下ることが出来なくなっていました。

再び悪魔のささやきが聞こえてきました。「早く降りないと売店しまっちゃうぞ。ビール飲めないぞー」道を間違った方向はわかっていたので、横移動して尾根に出ようかと思ったのですが、そのときふと自分が、典型的な登山事故者のパターンで行動していることに気づきました。無計画、軽装備、ルートを外れても引き返さない。先を急いでいる(ビールで)。こりゃアカンわ。我に返って、もと来た沢を上って引き返すことにしました。この山は、雪の重みが原因で、草や木が全て下を向いて倒れています。したがって下りはあまり苦にならないのですが、上りは、枝に突き刺さりながら前進していかなければなりません。悪魔に従ってしまった事を後悔しつつ、一歩一歩、藪を掻き分けて、もと来た道を登って行きました。何とかルートを見つけて再び下山。結局、往路以上に時間がかかってしまいました。

売店はすでに閉まっていました。しかしながら、人に迷惑をかけることにならなかったことに感謝しつつ、とぼとぼと家路に着きました。自宅でビールを飲みながら、考えました。

①  目先の欲に目がくらむとロクな事がない。

②  慣れているからとナメてかかるとロクな事がない

③  準備不足はロクな事にならない。

まぁ当たり前のことなのですが、あらためて良い勉強をすることが出来ました。

私たちの周りにはきっと色んなところに悪魔が潜んでいて、ちょっと隙を見せると甘い言葉で囁きかけてくる。そしてその心地よい誘惑に負けてついつい従ってしまう。しかしそれが災難のはじまり。悪魔が寄り付かないようにするには、本来の目的をしっかりと心に刻み、意識明瞭に取り組むこと。そうすればきっと道を外れることなく悠々と進むことが出来るのでしょう。悪魔ではなく、天使のささやきを聞き取れるよう精進しなくては!